Clash Verge Rev とは?
Clash Verge Rev は、オリジナルの Clash Verge が開発停止した後、コミュニティが引き継いでメンテナンスしているデスクトップ向け Clash クライアントです。Mihomo(旧 Clash Meta)コアを搭載し、Windows・macOS・Linux の三大デスクトップ OS に対応しています。GUI でプロキシ設定を管理できるため、ターミナル操作に不慣れな方でも、サブスクリプションの取り込みからノード切替までを直感的に行えます。
2026年現在、Clash for Windows(CFW)が公式にアーカイブされたことを受け、Windows や Linux ユーザーから「次に使うべき Clash クライアントはどれか」という検索が増えています。Clash Verge Rev は更新頻度が高く、Hysteria2 や VLESS Reality など新しいプロトコルにも追随が早い点が評価されています。GitHub の Star 数も5万を超え、日本語 UI にも対応しているため、国内ユーザーの間でも定番の選択肢の一つになっています。
ダウンロードとインストール
設定を始める前に、お使いの OS と CPU アーキテクチャが要件を満たしているか確認してください。
| OS | 最低バージョン | 対応アーキテクチャ |
|---|---|---|
| Windows | Windows 10 1903 以降 | x64 / ARM64 |
| macOS | macOS 10.15 Catalina 以降 | Intel / Apple Silicon |
| Linux | Ubuntu 20.04+、Arch など主要ディストリビューション | x64 / ARM64 |
Windows でのインストール
- ダウンロードページから最新版の Clash Verge Rev インストーラ(
.exe)を取得します。 - インストーラをダブルクリックし、画面の指示に従ってインストールします。既定の保存先は
C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Programs\Clash Vergeです。 - インストール完了後、デスクトップのショートカットからアプリを起動します。
- 初回起動時に Windows ファイアウォールの許可ダイアログが表示されたら、「アクセスを許可する」を選択してください。
macOS でのインストール
- ダウンロードページから
.dmgイメージを取得します。M シリーズ Mac は ARM64、Intel Mac は x64 版を選んでください。 - dmg を開き、Clash Verge Rev を「アプリケーション」フォルダへドラッグ&ドロップします。
- 初回起動時に「開発元を確認できない」と表示されたら、システム設定 → プライバシーとセキュリティから「このまま開く」を選びます。
- TUN モードを使う場合は、システム拡張のインストール許可と再起動が必要になることがあります。
Linux でのインストール
AppImage 版ならインストール不要で、そのまま実行できます。
# 実行権限を付与
chmod +x clash-verge_x.x.x_amd64.AppImage
# 起動
./clash-verge_x.x.x_amd64.AppImage
Debian / Ubuntu 系では .deb パッケージも利用できます。
sudo dpkg -i clash-verge_x.x.x_amd64.deb
初回起動:画面構成の見方
Clash Verge Rev のメイン画面は、左側のナビゲーションと右側のコンテンツエリアで構成されています。初めて開いたときは、次の各タブがどこにあるかを把握しておくと、以降の設定がスムーズです。
- Proxies(プロキシ):利用中のノードやプロキシグループの確認・切り替え。
- Profiles(プロファイル):サブスクリプション設定ファイルの管理と自動更新。
- Rules(ルール):現在適用中の分流ルール一覧(参照専用、内容は設定ファイルで定義)。
- Connections(接続):リアルタイムの接続状況とトラフィック統計。
- Settings(設定):プロキシモード(Rule / Global / Direct)、TUN、言語、テーマなど。
サブスクリプション(設定ファイル)の取り込み
Clash では、プロバイダー(いわゆる「空港」)から取得したサブスクリプション URLに、ノード情報と基本ルールがまとまっています。これを取り込むことで、手動でノードを一つずつ追加する手間を省けます。
- 左ナビの Profiles タブを開きます。
- 右上の 新規 → URL からインポート をクリックします。
- ダイアログにサブスクリプション URL(通常
https://で始まる)を貼り付けます。 - プロファイル名を入力(複数サブスクを使い分ける場合に識別しやすくなります)し、確認を押します。
- 取り込み後、該当プロファイル右側の 有効化(Use) ボタンを押して適用します。
取り込みが成功すると、Proxies 画面にノード一覧が表示されます。更新間隔は 24 時間ごとの自動更新に設定しておくと、ノードの追加・削除をプロバイダー側の変更に追従しやすくなります。期限切れノードのまま接続を試みて「突然つながらない」という事態を防げます。
ルール分流とプロキシモード
Clash の最大の強みの一つがルール分流です。国内向けサービスは直接接続(高速)、海外サービスはプロキシ経由(安定アクセス)といった使い分けを、ルールに基づいて自動化できます。Clash Verge Rev では、分流ルールは YAML 形式の設定ファイル内に記述され、多くのサブスクリプションにはすでに基本ルールが含まれています。
プロキシモードの選び方
Settings 画面の Clash モード設定には、次の3つがあります。
- Rule(ルールモード):大多数のユーザー向け。ルールに従い、直接接続かプロキシかを自動判定します。
- Global(グローバルモード):すべての通信をプロキシ経由にします。接続テストや障害切り分け時に一時的に使います。
- Direct(ダイレクトモード):プロキシを無効化し、すべて直接接続します。Clash を一時停止したいときに便利です。
日常利用では Rule モードに加え、System Proxy(システムプロキシ)を ON にしておくのが基本です。ブラウザなど、システムプロキシ設定を参照するアプリが Clash 経由で通信できるようになります。
Merge / Script によるルールの上書き
サブスクリプション本体を編集せずに、独自ルールを追加したい場合は Merge(マージ) や Script(スクリプト) 機能を使います。社内ネットワークや特定ドメインを常に直接接続したい、といったケースで有効です。
- Profiles 画面で、有効化中のプロファイル右側の Merge または Script を開きます。
- ルールを先頭に追加する例:
prepend-rules:
- DOMAIN-SUFFIX,example.com,DIRECT
- IP-CIDR,192.168.0.0/16,DIRECT,no-resolve
prepend-rules は既存ルールより優先度が高い位置にルールを挿入します。特定サイトだけ挙動を変えたいときに使いやすい書き方です。
TUN モード:システム全体のプロキシ化
通常の System Proxy は、HTTP/SOCKS プロキシに対応したアプリにのみ効果があります。一方 TUN(仮想 NIC)モードは、OS レベルで仮想ネットワークインターフェースを作成し、TCP/UDP トラフィックを Clash に渡します。プロキシ設定を読まないゲームクライアントや curl などの CLI ツールも、TUN 経由でプロキシできます。
Windows で TUN を有効にする
- Settings で TUN Mode のスイッチを ON にします。
- UAC(管理者権限)の確認ダイアログで「はい」を選択します。
- 初回は WinTun ドライバ(約 2 MB)のダウンロードとインストールが行われます。
- Connections 画面で、トラフィックが TUN インターフェース経由になっているか確認します。
macOS で TUN を有効にする
- Settings → TUN Mode を ON にします。
- システム拡張のインストールを求められたら、システム設定 → プライバシーとセキュリティで許可し、再起動します。
- 再起動後、
curlなどのコマンドもプロキシ経由になることを確認できます。
https://1.1.1.1/dns-query)を設定しておかないと、名前解決の失敗や DNS リークの原因になることがあります。
ノード管理と遅延テスト
Proxies 画面では、プロキシグループごとにノードが整理されています。サブスクリプションによって名称は異なりますが、よく見かけるグループは次のとおりです。
- 🚀 ノード選択 / Proxy:手動で利用ノードを選ぶグループ。
- ♻️ 自動選択 / Auto:URL-Test により、遅延が最も低いノードを自動選択。
- 🐟 漏网之鱼 / Fallback:どのルールにも一致しない通信の処理先。
遅延テストとノード切替
- プロキシグループ右側の稲妻アイコンをクリックすると、グループ内全ノードの遅延テストが実行されます(既定 URL:
https://www.gstatic.com/generate_204)。 - テスト後、各ノード横にミリ秒単位の遅延が表示されます。緑は低遅延、オレンジ/赤は高遅延またはタイムアウトを示します。
- ノード名をクリックするだけで即座に切り替わり、アプリの再起動は不要です。
よくある問題と対処法
問題1:サブスクは取り込めたが、海外サイトにアクセスできない
まず Rule モードになっているか、System Proxy が ON かを確認してください。次に Proxies で遅延テストを実行し、利用可能なノードがあるか確かめます。全ノードがタイムアウトする場合は、プロバイダー側の障害やサブスクリプション期限切れが考えられます。
問題2:TUN 有効化後にネット全体が不通になる
DNS 設定の不備が典型的原因です。Settings → DNS で nameserver をルーター IP や 114.114.114.114 などに、fallback を DoH アドレス(https://1.1.1.1/dns-query など)に設定し、TUN を一度 OFF にしてから再度 ON にしてください。
問題3:サブスクリプションの更新が「ネットワークエラー」で失敗する
更新処理自体もネットワーク経由で行われるため、先に利用可能なノードで接続してから更新する必要があります。一時的に Global モードに切り替えてから Profiles で更新を試すか、ブラウザでサブスク URL に直接アクセスしてリンクが有効か確認してください。
問題4:macOS で Clash Verge Rev が頻繁にクラッシュする
macOS 14 Sonoma 以降では、旧コアとの非互換が原因になることがあります。Settings の 更新を確認で最新版へアップデートしてください。新版では macOS 14/15 向けの修正が入っています。
問題5:Windows で WinTun ドライバのインストールに失敗する
管理者権限で Clash Verge Rev を実行しているか確認し、セキュリティソフト(Windows Defender 以外のサードパーティ製 AV など)を一時的に無効化してから再試行してください。WinTun は誤検知されやすいドライバです。インストール完了後に AV を再度有効化して問題ありません。
まとめ:Clash Verge Rev の強みと限界
本記事では、Clash Verge Rev のインストールからサブスクリプション取込、ルール分流、TUN モード、ノード管理まで、2026年版として一通りの設定手順を解説しました。Mihomo コアの新機能を GUI で扱える点は、上級者向け CLI 設定と比べて大きなメリットです。
一方で、Clash Verge Rev には次のような制約もあります。
- 学習コスト:プロキシグループ、ルールセット、Merge/Script など、初見では概念が多い。
- モバイル非対応:Windows / macOS / Linux のみ。スマートフォンは別クライアントが必要。
- TUN 設定の難易度:OS や権限設定によっては、追加の許可ステップや DNS 調整が必要。
- スクリプト上書き:高度な Merge/Script カスタマイズには、YAML や JavaScript の知識が求められる。
ClashX Meta のように macOS 専用でシンプルな体験を求める方や、スマホと PC で同じ設定感を維持したい方にとって、デスクトップ限定の Clash Verge Rev だけでは運用が分断されがちです。また、GUI クライアントごとにサブスク取込の手順や TUN の有効化方法が微妙に異なるため、複数端末を使うほど設定の再現に時間がかかることもあります。
こうした「端末ごとに設定がバラバラ」「モバイルで同じ体験が得られない」といった課題を避けたい場合は、Windows・macOS・Android・iOS・Linux を横断して同じ Mihomo コアで動作する Clash クライアントの利用も検討する価値があります。サブスクリプション URL の貼り付けだけで基本設定が整い、Rule 分流や TUN も初期状態から使いやすい構成になっているため、Verge Rev でつまずいた項目を改めて調べ直す手間を大幅に減らせます。